「そうか、さすが朝見ちゃんだな。偽免許証からここまで推理を働かせるとは。」
「それで編集長、警視庁の岡部警視が滝田さんの資料を預かった人、つまり編集長に逢いたいと言ってますが、どうします？　編集長の意思次第ですが」
「おいおい、俺はいいよ。名前など出したくない。断っといてよ。でも、この話、いいルポのサイドストーリーになるかな。まあ、うちの雑誌にゃ合わないがな」
「わかりました。岡部警視にはそう言っときます。気にしなくてもいいですよ。じゃ、これで。とりあえず私の報告は以上です」 

　警視庁へ寄って岡部警視に報告した朝見は帰宅して考えるのだった。

――また、事件に巻き込まれちゃった。どうなってるんだい。
しかし、長州藩と新選組の諍いか！　伊藤博文が解禁したフクが事件の発端か！　ああ、ふぐはうまいけどな。
ふぐに魅せられて事件が発生したか。

　そんなものか。

　でも、自分はこれからどうしよう。あちこちルポに行くのは愉しいし、やりがいはあるけど、事件に巻き込まれるのはいやだな―― 

　考え込む朝見だった。 

あとがき 

　なんとか十三話が終わった。苦労した。ストーリーがなかなか浮かばないのだ。
以前行った小倉と門司のことを書こうと考えたが、あ、となりは下関だ。あそこは長州だ。壇ノ浦の戦いの現場だ。
　幕末、長州と幕府軍の戦いの場だ。幕府軍と言えばやはり新選組だ。勝った方は明治維新後の政界の中心になったんだ。負けた方はそうでもない。
　てなことを考えながら書き進んだ。

　まあ、一度お読みください。 

　次回は朝鮮人街道のルポか、妖怪〝ぬえ〟に関わる源頼政の話か、どっちかにしよう。