エピローグ

　翌日、朝見は日本紀行の編集部へ行った。
「黒川編集長、ちょっとお話が。お時間取れませんか？」
「いいよ、何だい。またどこかへルポに行きたいのかい。いいところかい」
「いや、まあ、それもありますが。この前頂いた資料のことなんです」
「そうか、じゃ、ちょっと出ようか」

　二人はよく行く喫茶店に入った。

　コーヒーを前に朝見が言った。

「編集長、編集長から頂いた資料を基に滝田さんの事件は解決しました。犯人は逮捕され自供しました。大沢建設の専務が下関で水死したのも彼らの行為でした。事件は解決しました。編集長から頂いた資料、滝田さんの資料のおかげです。滝田さんも浮べられると思います。ありがとうございました。警察の方も感謝しています。解決に至った経緯について少しご説明します。いいですか」
「そうか、事件は解決したか。大沢建設の専務の事件も同じ犯人だったか。よかったな。滝田君もあの世でほっとしてるだろうな。うん、解決に至った経緯について、聞こうじゃないか。」

　朝見はこれまでの経緯について説明した。 

――小倉・門司・下関のルポ中、小倉のでレンタカー会社で偽免許の話を聞いたこと。下関の朝鮮通信使上陸港留之地で下関署の刑事にあったこと。編集長からの資料を池袋署へ持って言ったこと。そこで三人の身元が判明したこと。車から滝田さんのＤＮＡが検出されたこと。それから一気に捜査が進んだこと―― 

などを説明した。