３　　事件解決へ

　合同捜査本部には下関署からも捜査員が集まった。片桐刑事も来た。
捜査本部は土井社長、山下、井上を任意で事情聴取を始めた。
彼らが乗っていた車を押収し、徹底的に調査するのだった。
　合同捜査本部は岡部警視が中心となり、徹底的に捜査した。

彼らが乗っていた車は綺麗に清掃され、指紋等も発見されなかった。
　しかし、徹底的に調べた結果、車のトランクの片隅から微量の血痕が発見された。ＤＮＡ検査の結果、滝田のものと判明した。
　睡眠薬で眠らせ、さらに覚せい剤で意識をもうろうとさせ、トランクに押し込めてさらったのだ。 揺れる車内できっと頭でもぶつけて出血したのだろう。
　これで間違いない。この車で滝田を運んだのだ。土井社長、山下、井上が乗っていたのは川口駅前で乗り込んだ車の映像から明らかだ。
　三人は滝田を荒川に突き落として、水死に追いやったのに違いない。

　三人は取り調べに対して否認していたが、三人が乗っていた車から滝田のＤＮＡが検出され、ついに自白した。下関の事件も否認していたが、片桐刑事の追及に、下関で小杉専務と接触していたことを追及されて、ついに自白した。

　これで一連の事件は解決したのだった。

　彼らの行動の唯一の失敗は、井上の偽造免許証に井上自身の写真があったことだった。
しかし、写真が違う人物ならレンタカーも借れなかっただろう。

そしてその偽造免許に気付いた朝見の観察力が事件解決の引き金になったのだ。