この一言で一気に空気が変わった。

それまで朝見の話を、何言ってるんだい、と訊いていた岡部警視が言った。

「そうか、はっきりしたことが分かったな。よし、わかった。大沢建設の専務の話と下関の話と荒川の事故の話が一線に繋がったな。じっくり調べる価値がある。井上という裏街道の人間が実在したんだ。下関署と池袋署と赤羽署の合同捜査本部を立ち上げよう。朝見さんの話はどう考えても本当だ。池袋署に合同捜査本部を設置しよう。いいな、堀越君、頼むぞ」

「わかりました。とりあえず、東亜設備の土井社長と山下と井上を洗いましょう。荒川の水死体の件は赤羽署から大沢建設を洗ってもらいましょう。
　下関署には井上と土井と山下が下関にいなかったか、再度、捜査を依頼しましょう。朝見さん、よくこれだけ資料が集まったものですね。ありがとう。あとは、警察にお任せください」

　岡部警視が締めた。

「朝見さん、そういうことです。これから本庁へ戻って、段取りします。下関署の刑事にもよろしく、お伝えください。そうですか、長州藩と新選組の戦いですか、これは、ふぐが絡んでますか。そうですか。必ず事件は解決してみせます。朝見さん、ありがとう」 

　そうして会議は解散した。
朝見は、自分の役割はこれで終ったかなと安堵して帰宅したのだった。