――大沢建設の元社員が、専務の事故について疑問を持ち、下請け会社の東亜設備の三人について内偵していた時の記録。専務が長州の崇拝者で新選組には仕事をやるなと言った話。東亜設備の社長の先祖が新選組。しばらく仕事を干されて、専務の死後、順調に受注していること。専務は伊藤博文に傾倒していて、下関までフグを食べに行ったこと。そこで事件にあったこと。三人がよく会っていること。彼はすでに大沢建設を退職していること。資料を期日指定郵便で高校の同窓の先輩、某氏に送ったこと。某氏によれば、荒川で発見された水死体はこの滝田氏じゃないかと思っていること。
　下関で偽造免許で借りたレンタカーが現場近くを走っていたこと。この車に三人乗っていた事――

　などを話したのだった。 

「まあ、証拠がないんで、よくわかりませんけど。そういうことなんです。すごく気になってます。それから、これが偽造面免許証のコピイなんです」
　そういって免許証のコピイを出した。

　それを見た長谷川部長刑事が言った。

「あれ、こいつ、池袋をテリトリーにしている裏街道の男ですよ。自分はあまり表に出ないけど、悪い事ばっかりやってるやつですよ。たしか、井上っていう名前だったと思います」