３　　捜査開始

　朝見は車の中から警視庁の岡部警視に電話した。
「岡部さん、朝見です。お久しぶりです。ちょっとご相談したいことがあるんですが、時間いただけないでしょうか？」
「ああ、朝見さん、今度は何でしょう。いま、重大事件がありましたかね。実は私、これから池袋署でちょっと打ち合わせがあるんですよ。夕方、三時過ぎなら身体が空きますけど」
「そうですか、じゃ、三時過ぎに池袋署の堀越さんのとこに行きます。ちょっと、ややこしい、警察の協力が必要なことがあるんです」
「わかりました。じゃ、堀越君と待ってます」 

　朝見はいったん帰宅し、滝田の資料をじっくり読みなおし、添付されていたＳＤカードをパソコンで読んで時間を潰し、三時前に池袋署に向った。
下関で会った片桐部長刑事と約束していたこともお願いしなければ。
　池袋署では岡部警視と堀越警部と長谷川部長刑事が待っていた。

岡部警視が口を切った。
「朝見さん、今日は何なんでしょう。出来るだけのことはしますけど。多分、必要になるだろうと思って長谷川君も呼んどきました」
「ありがとうございます。じつは、この前、下関で池袋の大沢建設の専務が事故死した件なんですけど。下関署から大沢建設の調査の依頼があったと思うんですが、なにかありました？　なにも報告することはなかったと訊いてますが、報告する以外に何かありませんでした？　報告は下関署で聞きましたけど」
「ああ、あの件ですか？　表面的な状況を調べて、特に何もなかったんですが。なにか、あるんですか？　なんでしたら、もう一度調べますが」
「じつは、今日、重要な資料が手に入ったんで、ご相談に来ました」
　そして、持参した資料について説明したのだった。