第四章　朝見、乗り出す 

１　　下関署の捜査で 

　片桐部長刑事は朝見と別れてすぐにレンタカーの捜査に着手した。
これしか、ネタがないのだ。
山口県警を通じて小倉北警察署に連絡を取った。
　レンタカーの事件はレンタカー会社に被害はなく、特に調査は進んでいなかった。片桐は資料をもらってレンタカー会社にも行くが、そこでも何にもなかった。
　しょうがないので下関市内の監視カメラを再度、詳細に調査した。

その結果、夕方、門司港ＩＣから関門自動車道に乗り、下関ＩＣで降りたのが分かった。しかも、すぐに関門道に乗り、またすぐ戻ってきたのが分かった。しかも最初に下関ＩＣ降りたときは一人、ちょっとして次に降りたときは二人だった。
　きっとどこかで仲間を拾ったんだろう。ここから下関をうろうろしたんだろう。数多いとは言えない監視カメラをチェックする。唐戸市場近くのカメラに写っている。
赤間神宮近くのカメラにも。朝鮮通信使上陸の碑に向かう姿も。
　そして夜遅く、下関ＩＣにも映っていた。今度は三人乗っていた。

　乗っている人物の詳細ははっきりわからないが、男性三人だ。

　そして小倉のレンタカーの前で乗り捨てたときは一人だった。一人で乗り捨て、歩いて去った。きっと、近くで仲間の車に拾ってもらったんだろう。

　しかし、調査はこれで終った。なんか不自然で、下関の事件に関係ありそうだが、はっきりしない。乗っていた三人ははっきりしない。はっきりしているのは偽造免許証に貼られていた顔写真だけだ。
　片桐としてはこれ以上、どうしようもない。

でも、下関の事件と関連しているとすれば、この三人は東京もしくは近隣の人間だ。
　とりあえずこのことを朝見さんに連絡しよう。
集めた資料をまとめて、朝見宛に送るのだった。
　何かいい結果が得られるようにと願いながら。