朝見充彦事件簿(13)
ふぐに魅せられ

                 

 (19)

 これで小倉城の散策は終わった。もう夕方だ。ここから下関へ行こう。車があった方が便利だよ。

小倉駅近くでレンタカーを借りる。

 手続きを終えてさあ、車にと思ったとき、係員の目の前のメモに目が留まった。

――偽造免許に気をつけよう――とある。

「あれ、偽造免許って何? 何かあったんですか?」

「あ、ごめんなさい。気つけてたんですが、目に止まっちゃいましたか。すみません」

「実は二週間ほど前に車を借りた人がいましてね。次の日の真夜中に、店の前に乗り捨ててあったんです。走行距離に合わせてガソリン代も現金で添えてあって。まあ、うちには結果的に被害はなかったんですけど、一応、警察に届けましてね。免許証が大阪の住所の偽造でね。門司インターから乗ったのはわかったんですが、うちに被害がなかったんで、とりあえずそのままになりまして。まあ、いろんなことがあるもんです」

「そうなんですか、私もこれから下関へ出て、うろうろし、明日の夕方、車をお返しします。それじゃ」

 変なことする奴もいるもんだ。
朝見はとりあえず、門司インターから高速に乗り、下関へ出た。
 もう遅い。うろうろするには明日にしよう。
下関でビジネスに一泊するのだった。
 翌日の予定を立てながら。 

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