第二章　　　関門海峡を散策

　木曽路の散策が終わり、木曽路での巴御前の事件が解決して、朝見はしばらくのんびりしていた。　さあ、これからどうしようか、末次女史と行った木曽路を思いだしていた。
そのとき、日本紀行の黒川編集長から連絡があった。
「朝見ちゃん、暇だろ。明日にでもちょっと来てくれないか。ちょっと頼みがあるんだ」
「いいですけど。どんな話ですか？　いま、なんか動けない気がするんですよ」
「おいおい、なんてこというんだい、とにかく来てよ」
「わかりました。明日、午後一番で伺います」

 　翌日、10時過ぎに日本紀行に行った朝見だった。
「やあ、よく来たね。ちょっと、お茶でも行こうか」
　近くの喫茶店に行った二人だった。
「モーニングでいいだろ。まあ、ゆっくりして」
注文して直ぐ、編集長が下手なメロディをかなえだした。 

♪♪金波銀波の波こえて
大波小波の波こえて
着いたところが門司みなと♪♪ 

　理解できないメロディを聞いてこんがらがった朝見が訊いた。
「編集長、なんですか？　そのメロディは？」
「え、朝見ちゃん、知らないの！　こいつは門司のバナナの叩き売りだよ。じつは今回は門司港のレトロ地区をルポしてきてもらいたいんだな。いいらしいよ」
「え、バナナの叩き売りですか！いいですねえ。楽しみだな。でも、遠いですね。バナナの叩き売りだけでいいんですか？」
「そこが朝見ちゃんの腕の見せ所だよ。近くのいろんなところをルポしてきてよ。壇ノ浦の合戦の跡でもあるしね。頼むよ」
「わかりました。ちょっと計画を立てて、明日にでも計画を持ってきます」
　帰宅して朝見はルポの計画を立てるのだった。