――専務は東京０９：３０発の新幹線で行くようだ。小倉１４：１３着。そこから在来線で下関１４：４１着の予定だと聞いている。おれは専務に顔を知られてるから早い別便で行く。で、山下君が専務と同じ新幹線で行き、状況を連絡してくれ。
決して、ばれないようにな。
そして、井上君、君は先に小倉に行き、何時ものように、偽造免許でレンタカーを借りて、下りの壇ノ浦パーキングで待機していてくれ。下りだぞ。時間は夕方、五時だな。
そこから唐戸市場へ行こう。いいな。――

　専務の行動は訊いた通りだった。
下関駅から直接、唐戸市場へ行く。そこでフグの競りをじっくり楽しむのだった。専務の行動は山下から逐一、詳しく連絡を受けた。楽しんだ専務は思っていたように、近くの居酒屋へ入り込んだ。
フグを楽しむのだ。山下も同じ店に入り、ちょっと離れた席から呑みながら様子を窺った。
　土井社長は井上の借りたレンタカーで赤間神宮の前の駐車場の隅っこに停めて、山下の報告を聞いたのだった。
　遅くなって、山下から連絡が入る。予定通り、ふぐの碑を観に行くようだ。けっこう酔っぱらっている。自分もふぐの碑を観に行くと言って一緒に歩いているという。
駐車場から眺めている二人の目にも専務と山下の姿が見える。