任意同行を求められた大崎は前田氏との交際は認めたが、彼の預貯金の搾取は一切認めなかった。河合との交際も認めない。前田夫妻との関係も否定する。
河合は、木崎物産の経営について一切、知らないと否定する。前田夫妻との関係も一切認めなかった。

　そこで竹村は奥の手を出した。
長野の善光寺で会っていた写真を示したのだった。その写真についても偶然会って話をしただけだと否定。大崎とも偶然会ったというのだった。
　しかし、中津川から木曽路の道中、長野のビジネスの記録を突きつけると、一転、黙秘に転じてしまった。
　首謀者と思われる河合でなく、共犯者らしき大崎を尋問するのだった。
「大崎さん、前田さんの生前の生きざまをお知らせすると言って、誘い出したんでしょう。わかってますよ。ご夫婦の旦那さんは首を絞められてますが、奥様の友恵さんは溺死なんですよ。途中でトラブルがあったんじゃないの。場合によっては情状酌量の余地があるんですがね」

　それを聞いて、心が揺れていた大崎が自供を始めた。
そして、すベてをしゃべったのだった。

　大崎の自供によって河合も隠し切れなかった。
こうして、事件は全面的に解決した。 

　竹村は事件が解決して、岡部警視が報告のため、池袋署に呼んだ朝見に礼を言うのだった。
「朝見さん、ありがとう。巴御前の強い意思で事件が解決しました。ありがとう。巴御前のお友達にもよろしくお伝えください」
　竹村警部や岡部警視、堀越警部にも謝意を示されて、当惑した。
「いや、僕は何もやってません。すべては巴御前の働きです。でも、解決してよかったですね」