そこへ明るい光が差した。
　長野市内の監視カメラを調べまくっていた吉井部長刑事から連絡が入ったのだ。
「警部、光善寺で前田夫妻が見つかりました。休みを取った日の午後です。
いっしょに二人の男が行動していたようです。そのあと、四人で車でどこかへ行ったようです。その先は判明しませんでした」
「おお、やっぱり光善寺にいたか。よし、池袋署へデータを送ってくれ。男二人をもっと探ってくれ」 

　池袋署へ行った竹村だった。
「堀越さん、大崎と河合が前田夫妻と長野市の光善寺にいたことがわかりました。彼ら二人の行動をもっと探ります。ここはちょっと、泳がせまでょう。都内から出るようだったら、任意で連行しましょう。そのうち、彼らの行動がもっとわかりますよ」
「ああ、そうですね。こっちでもわかったことがあります。木崎物産は仮想通貨を扱ってたようです。木崎物産の隠れ口座には大金が隠されてました。ただ、口座振り込みでなく、現金で預金されてました」

　大崎と河合の行動はすぐわかった。

　前田夫妻が長野へ行った前の日、ふたりの乗った車が中津川インターのカメラにあった。
そこから木曽路を走っていたようだ。下見だろう。
ところどころのカメラに映っていた。
そして、その夜、長野駅前のビジネスに宿泊したことも。
　これで、彼らの犯行であることは明白だった。

　警視庁は二人を任意で同行し、池袋署で取り調べたのだった。
　取り調べは竹村警部が主導するのだった。
　竹村はＳＫＳ調査の太田を再度尋問した。
「太田さん、もう一度、お聞きします。あなた、河合さんに前田さんの調査報告書を渡してるでしょ。あなたの会社が業務上で河合司法書士事務所とつながりがあるのはわかってるんですよ。お話ししてくれた方がいいですよ。でないと、あなたも共犯者になってしまいますよ」

そこまで言われて太田は観念した。

　知っていることをすべて話したのだった。