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　翌日、午後から捜査会議が開催された。今後の捜査方針を決めるのだ。会議の主導権は竹村警部が握っていた。

「みなさん、これより合同捜査会議を開かせていただきます。まず、今日の議題たる重要な情報をもたらしてくれた朝見さんに、感謝します。ありがとう」

　隅っこに座っている朝見に黙礼して
「さて、いただいた情報を詳しく分析しました。木曽路における連続殺人の要因が、久米路峡で事故死した前田さんの資産がすべてなくなったことにあることは確実。まず、第一に、前田さんが一緒に飲んでいた大崎なる人物を特定させること。これは興信所の捜査でわかるでしょう。つぎに、前田さんの銀行のお金の出入りのチェック。どこかへ資金を送っているはずですから。
そして、土地を処分した不動産会社の調査。
　それから、前田さんがカメラに映っていたビルの詳細な調査。
　最も重要なのは大崎なる人物の特定でしょう。これが最優先ですね。
　それから、まだ、結論は出ていませんが、長野県警として、前田夫妻が出かけた日の調査をやっています。近くの監視カメラには映っていません。その夜は大雨でして目撃者もいませんでした。範囲を広げて、長野市内まで調査しています。
　こんなところでしょうか、どうでしょう、岡部警視」

「そうですね。そんなところでしょう。銀行のチェックは本庁でやりましょう。大崎の捜査は、堀越君、頼むよ」　

　翌日、池袋署の長谷川部長刑事と長野県警の木下はＳＫＳ調査へ赴いた。

「太田さん、ちょっとお聞きしたいんですが、木曽福島の前田さんから、調査を請け負いましたね。前田さんの足取りを調べるようにって。そして、大崎さんという人と会っていたことが分かったそうですね。そのあたりのことをお聞きしたいんですが」
　びっくりした太田だった。まさか、警察がくるなんて。それも長野県警からなんて、どうしたんだろう。
「え、まあ、調べましたけど。それがどうしたんですか」
　太田にはピンときた。ああ、この前、前田友恵から電話があったな、司法書士の河合についての問い合わせが。
　これはきっと何かある、河合のことは黙っておこう。その方がいいだろう。へたすれば自分にも何かがおこるだろう。
　そう思った太田は、河合のこと以外はすべてしゃべったのだった。
「まあ、こんなところですが、なにかあったんですか？」
「いや、実はね、あなたに依頼された前田友恵さん夫婦が木曽路で殺されたんですよ。その事件の絡みでしらべてるんです。何か思いだしたら連絡くださいよ」