３　　竹村警部再始動

 朝見は帰宅して書類を調べるのだった。
　書類には父親の死についての疑問が綴られていた。
――あるはずの遺産がいつの間にかなくなっていたこと。自宅も土地もすべてなくなったこと。父親の交友関係が何らかの原因だろうと考えたこと。そして交友関係を調べるために興信所に頼んだこと。
弁護士がある不動産会社から書類を持ってきたこと。権利はすでに不動産会社に移っていて、引き渡し期限は一か月先だったこと。
興信所で父親の交流先を調べたこと。大崎という名が浮かんだこと。
　父親があるビルに入るのが映っていたこと。等々が―― 

＊ 

　これは重要な情報だ。木曽での殺人事件の捜査に役立つだろう。
　朝見は竹村警部へ電話して、書類を南木曽署の捜査本部へとファックスした。
これを読めば、竹村警部も喜ぶだろう、捜査が進むだろうと考えたのだった。
資料を受け取った竹村警部は、警視庁の岡部警視へ資料を送った。
そして、岡部警視と相談するのだった。
　そして、警視庁と長野県警の合同捜査に踏み切ったのだった。
　明後日午後から池袋署で捜査会議を開くのだ。でも、長野県警としても、なにかすることがあるにちがいない。
前田が飲み歩いていた男がキイパーソン違いない。
　前田夫妻の足取りを再調査することにした。今度は現場近くではなく、長野市まで広く再調査しよう。
その指示をして、合同捜査会議に出席しよう。