しばらく嗚咽していた末次が、きっぱりと目を開けて、再び話し出した。
「じつは、友恵さんが木曽へ引っ越す前に、預かったものがあるの。これよ」

　取り出したのは二つの封筒だった。
「私が連絡するか、もし、何かあったらこの封筒を開いて。そこにお願いが書いてるわ。あとはうまくやってねって。
　そしてその後、木曽から東京へ来て、もう一度会ったときに、二つ目の封筒を預かったの。　そして、その後、あまりにも連絡がないし、困って封筒を開いたの。そこには義父さんのことに関する疑問が書いてあったわ。そして、最後に朝見さんに渡して善処していたくようにって、お願いが書いてあったの。
　私が朝見さんと知り合いだってこと、知ってたし、朝見さんならきっと、真相を探ってくれると思ったんだわ。
とにかく、これをお渡しします。うまいこと処理してください」

　封筒を差し出しながら、言う末次だった。
「わかりました。とにかく預かって、調べます。ご期待してください」
「ありがとう。友恵さんの仇を討ってください。お願いします。わたしは、しばらく友恵さんの慰霊のため、じっとしています。よろしく、お願いします」

といって、立ち去った末次だった。

　朝見はとりあえず、預かった書類をもって帰宅するのだった。