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　安曇野から木曽路散策から帰って、ルポも書き終えた朝見だった。今回の旅はそれなりによかったが、一番の注目点は竹村警部に会ったことだった。
　寝覚めの床と巴が淵での連続殺人事件に遭遇したことだった。竹村警部は捜査に苦労しているようだった。何か手伝えることはと考える朝見だったが、どうしようもない。
　書き終えたルポをもって、日本紀行の黒川社長を訪ねた。
「どうです、なかなかいいルポでしたよ。まあ、読んでみてください」
　一読した黒川が言った。
「ああ、いいね。さすが朝見ちゃん、よくできてるね。これならＨトラベルの大川社長も喜ぶだろう。また頼むよ」
　大川社長にもルポを提供して帰った朝見だった。

さあ、これからどうしようと考えていたとき、電話が鳴った。
　末次女史からだった。
「やあ、末次さん、お久しぶりですね。どうかしましたか」
「ああ、朝見さん、至急にお会いしてご相談したいことがあるんです。午後からでもお時間取れませんか？」
「ああ、いいですよ。どうせ、暇ですから。それで、どんなお話でしょう」
「あ、まあ、それはお会いしてから。出来たら静かにお話しできるところがいいんですが。朝見さんのおうちに近くの平塚神社の境内で如何でしょう。よければ、午後二時ごろ、本堂の前で待ってますが」
「いいですよ。なにか大変なことのようですね。とにかく、二時頃、平塚神社へ行きます。そこで、お話を聞かせてもらいましょう」
　末次の話し方はなにか切羽詰まったような話し方だった。
彼女の関係するような事件や事故が発生しているのだろうか、何も思い浮かばない朝見だった。
　まあ、とにかく二時には平塚神社へ行こう。