届いたファックスをひったくるようにして読んだ竹村警部の顔色が変わった。
これはすごい資料だ。もちろん、推測の域を出ない資料もある。
一番役に立ちそうなのは、前田が生前に飲みに行っていた大崎という男だ。
　前田の資金の流れを示唆する事項もあった。仮想投資会社と前田の資金の流れも調べる価値がある。
　仮想投資会社の設立にはどこかの司法書士事務所が絡んでいる。
不動産を搾取したときに使った不動産会社にも調査の手が伸びていることが書いてある。
　これだけあれば、警視庁との合同捜査に踏み切れるぞ、そう竹村は考えた。

　よし、これを警視庁の岡部警視に送ろう。そして、合同捜査に踏み切ろう。
これだけ、状況証拠があれば、警視庁、いや池袋署か、真面目に取り組むだろう。うちからも人員を送り込める。いや、おれが率先していこう。 

　さっそく警視庁の岡部警視へ資料を送った。
資料が届いた頃を見計らって電話するのだった。

「岡部さん、長野県警の竹村です。資料、届きましたでしょうか？　この前お願いした前田さんの件なんですが」
「ああ、竹村さん、いま読み終わったところです。これは長野で事故死した前田さんの息子さん夫妻の事件とも絡んでますね。連続殺人事件の絡みとなれば、警視庁としても本腰を入れる必要がありますね」
「そうなんです。警視庁と長野県警の合同捜査の必要が出てきました。明後日にでも、こちらから捜査員を連れてお伺いしたいんですが」
「わかりました。じゃ、明後日午後から池袋署で捜査会議を開きましょう。堀越君に連絡しときます。ところで、こんな資料、何処にあったのでしょう？」
「実は、岡部さんも知ってると思いますが、あの朝見さんから送って来たんです。かれからなら信頼できます」
「そうですか、じゃ、一度朝見さんと連絡を取ってみましょう」
「わかりました。よろしく」