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　電話を受けて前田友恵が、興信所へやって来た。
そして資料を受け取り、前払い金を清算した。
これで興信所に頼んだ仕事は終わった。
資料は不十分だったが、一緒に呑んでいた男はわかった。
きっと、この近辺の人間にちがいない。
「ありがとう。でも、これだけじゃどうしようもないわ。でも、とにかくありがとう。もっと別の方法で調べるわ。わたしは木曽の巴御前なのよ。けっしてあきらめないわ。でもとにかくありがとう」

興信所の太田は、それを聞いてぞっとした。――
よっぽど父親のことが心配なんだな。でも、どうして調べるんだろう。すごい執念だな――

 　前田友恵はこれからのことを考えた。この資料だけでは警察は動けまい。
やはり、あの朝見さんに相談しよう。
　そして旧知の、頼みごとをしている末次女史に電話した。
「もしもし、末次さん、前田です。お久しぶりです。時間があったらお会いできません？　いま、池袋にいるんです」
「あら、前田さん、お久しぶり。お元気でした？　いいわよ。私、今、ちょっと用事があって巣鴨にいるの。もうすぐ身体が空くわ。２時ごろ巣鴨駅前でどう？」
「いいわよ、２時に巣鴨駅に行くわ」
　前田友恵はそれから近所のコンビニで書類をコピイし、コピイを封筒に入れて、ＪＲで巣鴨へ行くのだった。
　そして二人は駅前の喫茶店に行くのだった。