第四章　　　事件の背景 

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 司法書士の河合と大崎はうまく事が進んで満足だった。前田健司の財産を総て自分たちのものにしてしまったのだ。息子夫婦はどうやら、木曽の田舎へ引っ越してしまったらしい。
　河合の事務所で二人は話し合った。

「河合さん、うまくいきましたね。さすがです。しばらく苦労せずに過ごせます」
「そうですね、大崎さん。しかし、うまく翻弄しましたね。でも、これからですよ。私たちのことは遺族には知られていないはずです。でも、しばらくは、飲みに行くのは止めた方がいいでしょうね、そんな気がします。お酒が欲しくなったらうちの事務所でやりましょう」
「え、どうしてですか？　なんかあるんでしょうか？」
「いや、確固たることは言えないんですが、あの息子夫婦、黙って引き下がるとは思えませんでね。前田さんと大崎さん、あなたたちの触れ合いはスナックでの飲み仲間です。一、二か月は飲みに行くのは自粛しましょうや」
「そうですか、わかりました。
しばらくは自粛します。たまにはこの事務所で飲ませてください」