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 大崎は前田を誑し込んで自分のいいようにしようと考えたのだった。そのため、知り合いの司法書士の河合孝雄と相談した。今までも大崎に協力してくれた男だった。
「河合さん、ちょっと相談があるんですけど。あなたにも悪い事じゃないと思うんだけど」
「いいよ、いつでも。何だい、またお金の話かい？」
「そうなんです。最近、カモになりそうなのが見つかったんですよ。少し知恵を貸してほしいんだけど」
「よし、いい話だね、明日、待ってるよ」 

翌日、河合の事務所へ行った大崎だった。
　そして前田憲司のことを相談した。

「なるほど、いいカモみたいだね。よし、少し調べてみよう。そのあとでいい方法を考えよう」

一週間ほど徹底的に前田のことを調べた河合だった。本人の資産や息子夫婦のことも調べた。さすが、司法書士。資産や個人のことも調べまくった。息子の勤務先も携帯の電話も。

そして河合が言った。

「すごいね、前田さんてのは。仕事はしてないみたいだが、貯金はたくさんあるし、自宅もいい場所にある。おまけにお酒が好きで、楽天的な人だよ。大崎さん、こりゃ、うまくいくと本当にいいカモだよ。よし、仮名で投資会社を設立しよう。そこで、仮想通貨への投資に誘おうぜ。
投資した額の一割を定期的に戻して安心させよう。安心しきったところで土地もみな、現金化しよう」
「いいですね。でも、そんなにうまくいきますかね」
「大丈夫、そのために俺がいるんじゃないか。心配ないよ。資料は俺が作成するから、大崎さん、かれにうまくハンコをおさせてくれ。やるからには徹底的にやろう」
　大崎は前田と毎週と言っていいほど飲んでいた。