とりあえずの目的は達したよ。まだ帰るのには早い。ちょっとドライブしようか。
久米路峡へ行ってみよう。そのくらいの時間はあるよ。Ｒ19をひたすら走ることにした。
あまり車も多くなく、そこそこ整備されている。走りやすい道路だ。
走っていると左手に久米路峡との矢印がある。0.3ｋｍとある。行ってみよう。
久米路峡は犀川にある渓谷で、景勝地だ。

この付近の岩は周辺よりも硬い岩石だったため、犀川が侵食することができず、深い渓谷を作り出したのだ 長野県歌「信濃の国」でも「心して行け久米路橋」と歌われている。
ここは「雉も鳴かずば撃たれまいに」のお話の伝説のあるところだ。初めて知った。
まったくいろんなところに旅するもんだなあ。
やあ、いいところだね。駐車場に車を止めて近くをうろうろと散策する。
いいね。人の少ないところまで歩いて行く。
そのとき、彼女の驚いた声が。
「あれ、何？　人が浮かんでるわ。大変だわ」
驚いて水面を見ると、人が浮かんでる。大変だ。
とりあえず１１０番した。
「もしもし、久米路峡で水面に人が浮かんでます。すぐ来てください。大変です」
「わかりました。すぐ行きます。そこにいてください」

２０分ほどでパトカーと救急車がやって来た。
救助されたが、その男はすでに死んでいた。
通報した二人は事情を聞かれたが、何もわからない。しかし、時間をとられ、ショックも受け、その後の観光もその気がなくなり、そのまま、東京へ戻っていった。なにか不快な休日だった。