読み終わった岡部と朝見はびっくりした。

　自殺事件とされた紫式部の墓での自殺、過失とされた十王堂での転落死事件、これが殺人事件だということなのか。恐らくそうだろう。
　岡部が言った。
「とにかく、大泉とこの岸部という男と神崎のことを徹底的に調査しよう。きっと、京都での事件との関連が見つかるだろう」
「岡部さん、よろしくお願いします。データが判明したら、京都府警の平山警部補に送ってくれませんか。彼が、京都での捜査の指揮を執ってくれるはずです」
「平山警部補ね。わかった。そうしよう」
「よろしくお願いします。彼とは以前からの知り合いなんです。彼も少なからずこの二つに事件に疑問を感じていますから」 

　警視庁での捜査は順調に進んだ。大泉と岸部と神崎が時々あっていたことが判明したのだ。

　そのデータは京都府警に送られた。

　京都府警で二つの事件に疑問を感じていた平山警部補のところへ、岡部警視から連絡が入った。
「平山さん、警視庁の岡部です。朝見さんから事情は聴きました。東京での捜査結果を送りました。京都での捜査をよろしく」
「ああ、岡部さん、お名前は朝見さんからお聞きしています。とにかく、この三人の京都での行動を徹底的に洗います。多分、合同捜査になるでしょうが。徹底的に洗います。お任せください」