「社長、困ったことがあるんです。相談に乗ってくれませんか。あれ、朝見さんじゃありませんか。その節はお世話になりました。ちょうどよかったわ。一緒に相談に乗ってくれませんか」
「やあ、桜田さん、お元気そうで。僕はいいですよ」
「桜田君、いきなり何だね。まあ、困っていることがあったら相談に乗るけどね」
「すみません、京都で事故死した神崎史郎さんの件ですが。あ、私たちはタレント仲間としての知り合いというだけなんですが」
「わかった、まあ、話してくれ」 

　桜田美和が困っていることをいうのだった。
「実は、昨日、この前亡くなった神崎史郎さんから期日指定の手紙が届いたんです。彼とは仕事上で時々会うだけなんです。どうして、私のところに届いたのかわかりません。手紙の内容は、別封筒の中身は読まない方がいいでしょう。信頼できる人にお見せして相談されたほうがいいですって書いてありました。
中には別封筒が入っているんです。この前、京都で自殺した水野かおりさんの本で、私もモデルといわれていたせいなんでしょうか。　これなんですが、社長、どうしましょう」

　聞いてびっくりした安部社長と朝見だった。

「そうですか。これは桜田さん、見ない方がいいでしょう。なにか、異常なことが起きてるような気がします。私と安部社長で善処しますよ。そうですね、社長」
「わかった。桜田君、この件は忘れてくれ。朝見さんと相談するよ」
「わかりました。じゃ、置いておきます。私は忘れることにします」
　そう言って桜田は部屋から出て行った。