そして二人は京都府警へ行き、平山警部補に会った。

「平山さん、お久しぶりです。お元気そうで。警部補に昇進なさったそうですね。おめでとうございます」
「やあ、朝見さん、お久しぶりです。わたしの昇進は、あなたのおかげです。ありがとうございます。ところで、今日はどうされました？　栗原さんが一緒ということは、どうやら紫式部の墓での自殺事件と、十王堂での事件のことですか。あれは一応、解決済みの事件ですが」
「そうなんです。栗原さんから詳細を聞きました。具体的な証拠はありませんが、何か、不審な事情を感じます。多分、平山さんも心の底では感じていると思います。
私は東京に帰って、僕なりに少し検討してみたいと思っています。まずはマスコミ関係を、現代の源氏物語の背景を探ってみようと思います。
　何かあったら、平山さんに連絡します。多分、警視庁から」

「うーん、さすが、朝見さん、私の心の内も読みとってますね。確かに、すこし違和感があるんです。東京での捜査が順調にいくことを祈ってます。最後は、京都での捜査が大切ですから。警視庁から連絡があることを祈ってます」
「朝見さん、私にも情報をくださいね。平山さんの許可なくして、新聞に載せたりしませんから。お約束します。私も一応、事件記者の端くれですから」
「わかりました。じゃ、また」
そして三人は再会を約して別れた。

朝見は東京へ、栗原は新聞社へ戻るのだった。