木谷警視が感心したように、
「そうですか、それだけわかれば、クロに近いですね。うちも一つだけ、連絡します。長富君、説明してくれ」
「この前から、豊橋や蒲郡を再度、徹底的に調べました。その結果、豊橋駅に岡田が現れたのを確認しました。水井が近くのコンビニでビールやおつまみなんかを買ったのも確認しました。
　それからこれが重要だったんですが、レンタカーを借りた日に三ヶ根山の殉国七士の墓から少し離れたところの駐車場に停車していた車を探しまくったんです。その結果、隅っこに一台の車が止まっていて、三人がお酒を飲んでいたことがわかりました。写真を見せたところ、岡田と水井と稲山だったとの証言を得ました。不謹慎な連中だと感じて、じっくり観察していたようです」 

　岡部警視が少し考えていった。
「よし、わかった。どうやら三ヶ根山の事件の主犯は水井と稲山だな。よし、まずこの二人を事情聴取しよう。これだけ証言があれば、彼らも否認できまい。
　とりあえず、うちで彼らを調べよう。それでいいですね。
さて、ここまでは公式な打ち合わせですね。実は、これらの情報のもとになったのは、朝見という人間からの情報なんです。かれは検察庁の幹部の弟さんで、うちはいろいろ世話になってるんです。別室に待機させてますので、呼びましょう。堀越君、頼む」

　長友部長刑事が声を上げた。
「え、あの朝見さん！　昔、蒲郡で会った事件で世話になったことがあるんです。そうですか、今回もあの朝見さんが絡んでるんですか。木谷警視、いいですね」