第六章　　事件解決

 池袋署で捜査の状況の会議があった。出席したのは警視庁の岡部警視、池袋署の堀越警部、長谷川部長刑事、愛知県警の木谷警視、蒲郡署の鈴江警部、長富部長刑事だった。
「やあ、岡部さん、お久しぶりです。何年になりますか。うちの蒲郡署の鈴江君と長富君です。今日はよろしく」
「お久しぶりです、木谷さん。お元気で何よりです」
　二人は以前からの知り合いだった。

　さっそく会議が始まった。
今まで判明しているのは次のようなことだった。 

機密情報を流していたＫＭ企画のこと。
代表は鹿川といい、豊橋の出身で、かなりの有力者だということ。
岡田はそこの水井という技術者と頻繁に会っていたこと。
事件の十日前、水井ともう一人、稲山健作が豊橋で車を借りていたこと。 

などであった。

　岡部警視が言った。
「これだけでは、なかなか難しいですね。木谷さん、少し情報があります。堀越君、先日の話をしてくれないか」
「そうですね、実は先日、福島県警からの調査依頼が、警察庁にありました。猪苗代湖で不審死した三田和江という女性ですが、どうやら、東京の池袋あたりで仕事をしていたらしいということで、長谷川君が写真を持ってあちこち調査したところ、やっと、消息が分かったんです。池袋のスナックでアルバイトしていたらしい。そして、最近、男友達ができているらしい。驚くなかれ、その男が岡田らしい。
そこで福島県警に水井と稲山の写真を送って、近くの監視カメラをあたってもらいました。その結果、会津若松のビジネスホテルに宿泊していたことがわかりました。
　もう一つ、豊橋で車を借りた稲山健作という男は、免許証から調査してみると、池袋のクラブのバーテンでした。この男は過去に傷害事件を起こしていました。
そしてこのクラブの状況を調査したところ、裏の経営者は鹿川だと判明しました。
この鹿川という男は政界進取をもくろんでいて、次の都議選に出馬すべく計画しているようです」