とりあえず情報会社の破綻危機が過ぎた。しかし、安心するにはまだ早い。
まだ、三田が残っている。
どうしようと考えているとき、三田から連絡が入った。
「水井さん、最近、岡田さんと連絡がつかないの。どうしたのかしら」
「ああ、岡田君は、九州の護国神社を参拝しようと、旅してるよ。そう、君に無断だったのか」
「ああ、そうなの。実は私の母が昨日、急になくなって、明日、お葬式があるの。五週間ほど実家に帰っているつもりなの。それだけ知らせたかったのよ」
「そうか、それはそれは。ところで君の実家は何処だい」
「猪苗代湖の近くなの。すぐそばに野口英世記念館があるの。岡田さんから連絡あったらそう言ってください」
「わかった、そうしよう。都合がついたら俺も顔を出そう」 

　これはチャンスだ。よし、これを利用しよう。
　三田の母親の葬式がおわり、一段落した三田だった。遺族が集合しての集まり。
「お酒が好きだったお母さんの霊を慰めましょう。みんなで一杯やりましょうよ」
そうして遺族一同は母の霊を慰めるのだった。
かなり飲んだころ、電話が入った。
水井からだった。水井は野口英世記念館の近くに行ったのだった。監視カメラに映らないように注意して。「三田君、今、野口英世記念館の裏手の猪苗代湖の湖岸にいるんだ。きみにお悔みを伝えたくて来たんだが、案内してくれないか」
「わかりました。迎えに行きます。十分ほど待ってもらえませんか」
「和江さん、大丈夫？　けっこう酔ってるわよ」
「大丈夫よ、すぐそこだから。心配無用よ」
やがて一人でやってきた三田だった。
酔っ払っている三田を見て、水井はチャンスと思った。
そして、二人は湖岸で水井が持参したビールを飲み、歓談した。
そしてすきを見て湖に突き落としたのだった。
携帯電話は、猪苗代湖の沖へと投げ捨てた。
酔った三田は溺死してしまった。

これが第二に事件の真相だった。