そして翌日、水井は稲山と豊橋へ行った。そこでレンタカーを借りて駅へ向かった。レンタカーを借りるのは稲山名義。自分の関与をできるだけ減らすために。豊橋でレンタカーを借りて、明日、京都駅で返すと契約して。
途中でビールや焼酎やつまみなどを用意して。あと、鹿川が常用している睡眠薬も貰って用意していくのだった。
　そして、豊橋駅前で待つ。
やがて、岡田がやってきた。
「やあ、岡田君、待ってたよ。さあ、行こうか」
　しばらく走って、三ヶ根山スカイラインに入る。少し走って、山頂近くの駐車場のところから最高地点を過ぎ、さらに先へ行く。その先が殉国七士の墓だ。
「さあ、殉国七士の墓だよ」
　参拝する人が何人かいる。
　岡田は感激して、七士の墓を参拝するのだった。
　参拝後、三人は少し戻って広い駐車場まで戻った。
「社長は夕方になるらしい。ここで待とう。どうだい、少し飲もうか」
　岡田を抹殺するには人気のなくなる夕方まで待たねばならない。
　三人は車の中で休憩するのだった。ビールと酎ハイとで、飲むのだった。
殉国七士の墓に参拝して、感激して、すっかり気分の良くなった岡田だった。
　ビールの混入した睡眠薬で岡田は眠り込んでしまった。 

　夕闇が迫るころ、目覚めた岡田に水井が言う。
「社長は急用ができて、来れなくなったらしい。今夜は名古屋へ行き、一泊しよう。そこで会うことにしよう。名古屋へ行く前に、もう一度参拝しようぜ」
　まだ、少しふらふらしている岡田だったが、
「いいね、行きましょう。もう一度参拝しましょう」
　周囲は結構薄暗い。手を合わせる岡田だった。
　気を許した岡田の後頭部を、稲山が落ちていた石で殴った。意識を失った岡田の後ろから首を絞める。そして、墓の裏へ放り込んだのだった。
そして水井と稲山は、そのまま走り去った。
　二人はそのまま名古屋へ行き、ビジネスで一泊。翌日、京都駅で車を返して、東京へ戻った。

これが三ヶ根山、殉国七士の墓での事件の詳細だった。