第五章　　事件の裏側 

ＫⅯ企画はいろんな会社の機密情報を盗んでライバル会社に売り込んで、利益を上げていた。特に中国あたりの会社に売った情報で得られる利益の一部を還流させていた。
そして、多大な利益を上げた。鹿川は手広く事業を広げ、地域の有力者になっていた。そして、今度は政治家になろうと画策していた。
しかし、今までは技術を売り込む人間は結構いたのだが、各社とも内部統制が厳しくなって、売り込みに来る技術者がほとんどいなくなった。
鹿川の下で技術面を取り仕切っていた水井は困っていた。ＫⅯ企画の中では、鹿川が利益を独り占めにして、水井の収入が減っていたのだ。
そこで非常手段に出たのだった。

今回ターゲットになったのは西東電子という電子機器メーカーの東京支店だった。
そこの技術者をたぶらかして情報を入手するのだった。ＫＭ企画の主任技術者を務める水井真司は、いろんな伝手を使って、支店の技術者を調べた。
その結果、使えそうな技術者が二名いた。大野と岡田の二人だ。さらに調べると大野はすでに結婚していた。岡田はまだ独り者で、どうも天涯孤独の身らしかった。
よし、岡田を標的にしよう。まだ若いんだから、女を使って籠絡しよう。