翌日、読日新聞の島崎を訪ねた朝見だった。

「朝見さん、とりあえず分かったことをお知らせします。二年前の情報流出事件は公になっていませんので、データベースにはありませんでした。それで十年ほどさかのぼって調べたんです。情報の流出事件は何度か起きてます。もっとあるかとも思いますが、なかなか公にはなっていませんね。一つだけ、公になってました。
　鹿川太一という人間が、技術情報の当事者でした。ある会社の技術者だったんですが、他社へ売り込んだらしいです。それに協力したのが水井真司という男だとわかりました。
それ以外には当社にはデータがありませんでした。
　それで、この人物の名前で調べたんですが、うちのデータベースには時々出てきます。どうやら技術コンサルタントを経営しているようです。
あまり、いい記事じゃないみたいですね。トラブルの裏に出没してるみたいです。
それから痴漢冤罪事件ですが、これも公にはなってません。ただ、うちの記者がその女性にインタビューしていたらしいです。彼に聞きましたが、よくわかりません。すみませんが、これしかわかりませんでした」
「ありがとうございます。まあ、なんかの参考にはなるでしょう。ちょっと考えてみます」
　そうして、少々気落ちして帰った朝見だった。

これだけの資料から、どうしよう。