「なるほど、事件の背景はわかりました。警察に言いたくない気持ちも。
そうですね、二、三点教えてください。
痴漢の冤罪が絡んでいないかどうかと、技術コンサルタントについてと、どうして殉国七士の墓で事件が起こったのでしょう。なにか、思い当たることはありませんか？」
「痴漢の冤罪が関係してるか、わかりません。技術コンサルタントの件は、会社の上層部はどうかわかりませんが、私はわかりません。殉国七士の件は、よくわかりませんが、岡田は戦前、戦後のことに興味があったようで、全国の護国神社などを見て回っていたようです。場所によっては、古いゼロ戦が飾ってあったりするようです」
「そうですか、ちょっと、僕なりに考えて、調べて見ましょう。でも、あまり期待しないでください。できるだけ、岡田さんの霊を慰めるべく、努力します」
「ありがとうございます。よろしく」
こうして三人は別れたのだった。 

　二人と別れた朝見は、いったん帰宅して、じっくり考えるのだった。どうして岡田が機密情報を横流しするようになったんだろう。きっと、何か事情があるに違いない。