事件の背景

 電子機器メーカーで岡田と一緒に仕事をしていた大野は、警察が帰ってから考え込むのだった。会社からは口留めされているので、警察には話さなかったことがあるのだ。
　岡田が会社を辞めた本当の理由、それは技術情報の流出事件だった。彼は詳細は知らないが、会社の機密情報を他社に流したらしい。
　でも、会社としては秘密にしていたのだ。
どうしようか。岡田が殺されるなんて思ってもみなかった。
事情を警察に言うのはなんか憚れる。
どうしよう。悩む大野だった。 

　その時、ふっと頭に浮かんだのが朝見充彦だった。学生時代、学内で揉めていたことをすっと解決した男だ。伝え聞くところによれば、ルポライターらしい。その傍ら、探偵みたいなことをしているらしい。その筋には有名らしい。
　彼に相談すればなにか、いい知恵が浮かぶだろう。
しかし、大野は工学部で、朝見とは学部が違うのでほとんど面識がない。
　そこで思いついたことがあった。確か、部活で知り合った松田って男が朝見をよく知ってるらしい。最近、結婚したらしい。