三人は岡田の住んでいたマンションへ向かった。しかし、そこには住んでいなかった。管理人に聞いたが、どこへ移ったのかわからないのだった。
　こりゃ、どうしようもない。消沈した三人は池袋署へ戻った。そして堀越警部も入れて四人で今後の方針を検討するのだった。

　岡田の身元は分からない。会社に残っていた人事資料では、どうやら孤独な生活だったようだ。本籍地もよくわからない。天涯孤独というのが正直なところらしい。
　捜査はどうしようもなくなった。
とにかく、池袋界隈を岡田を求めて回ろう、それしかないなということになった。ここからは愛知県警の出る幕ではないな、とにかく池袋署で対処しよう。ということになった。

 　困り果てた長富が堀越警部に言うのだった。
「事件とは関係ないですが、北区に住んでいるルポライターで探偵の朝見さんをご存じじゃないですか。藁をもつかむ気持ちでお会いしたいんです」
「え、朝見さん！　よく知ってますよ。いろんな事件でお世話になってますが」
「いや、三ヶ根山の現場で一度お会いしたんです。何年か前、蒲郡での事件の際、お世話になったんです」
「ああ、そうですか。彼には、たまにお目にかかりますよ。今度会ったら、よろしく言っておきましょう」
　それで、池袋署での打ち合わせは終わった。
せっかくの東京出張は何の成果もなく、二人は肩を落として蒲郡へと戻ったのだった。