エピローグ 

　数日後、三人は平塚亭であった。野上は涙を流さんばかりに朝見に感謝するのだった。
「ありがとう、朝見さん。山下さんの無念を晴らしていただいて有難うございます。わたし、山下さんと約束していたんです。いつか、仙酔島へ行こうって。
　一緒に行きませんか？　末次さんも」
「いいわね、行って見たいわ。朝見さん、行きましょうよ」
「ああ、僕も行きたいですね。事件の現場に行って、今回のことをよく考えてみたいですね。ちょっと考えてみましょう」 

　翌日、朝見は日本紀行の黒川編集長のところへいくのだった。
「編集長、福山の鞆の浦から仙酔島ってご存知ですか。いい所ですよ。ルポに持ってこいみたいですよ」
「そうか、仙酔島って知らないな。わかった、ちょっとルポしてきてもらおうか」
　こうして三人は福山へ行くのだった。

　新幹線で福山へ。そこから福山城、鞆の浦へ行く。いいね、この辺りは。
　そして仙酔島へと渡るのだった。
　三人で五色岩を覗く。ああ、ここが現場か。
　野上は花束を投げ、山下のことを思って涙ぐむのだった。
　それをみて朝見が呟いた。
　仙酔島から届いた風が全てを解決したんだなあ 

　こうしてすべては終わった。
　しかし、朝見の気持ちは複雑だった。また今度も事件に絡んでしまった。
　まあ、それはそれで、悪いことじゃない。
でもこんなことばっかりしていていいんだろうか。
　三人で東京へ戻る新幹線のなかで考え込むのだった。 
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　(完)