それから数日して、島崎記者から電話があった。
「朝見さん、ちょっとご相談したいことがあるんですけど、お会いできませんか？」
　ちょうど、島崎に連絡しようと思っていた朝見はすぐに了承した。
「僕も、少しお願いしたいことがあるんです。じゃ、明日伺います」
　翌日、読日新聞へ行った朝見だった。
「実はね、朝見さん、わたし、うちの政治部の佐藤から頼まれて国会議員秘書の宮本を尾行して、福山へ行ったんですよ。その時、福山城でちらっと見た女性が、仙酔島で海に落ちて溺れましてね。
　身元不明だったんです、その女性は。確たる自信はなかったんですが、宮本と議員の現地秘書となんか関係がありそうな気がして、行方を探してたんです。
　そして一昨日、うちの支局から連絡があって身元が判明したんです。驚くなかれ、あのＧ建設の元社員だったんです。明治神宮で自殺した社員もＧ建設の社員だったんです。
　そこらをちょっと朝見さんに相談しようと思いまして」
「え、ひょっとしたらその女性は山本房江って言いません？」
「そうです。朝見さん、なぜ、それを知ってるんですか」
「いや、実はその山本房江という女性の知人から、行方不明になってるので何とかしてほしいと頼まれてるんです。島崎さんとこのデータベースで行方不明人の調査をお願いしようと思ってたんです。
　どうやら、明治神宮の自殺事件と仙酔島での事件と関係がありそうですね。そうだ、警視庁の岡部警視と相談して、再調査してもらいましょう」