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 山口県のルポから帰って、少し暇を持て余していた朝見のところに末次女史から電話がはいった。
「朝見さん、こんにちわ。ご紹介したい人がいるんだけど、お時間あるかしら。高校の後輩なんですけど。何か困ってることがあるみたいなの。いかがかしら」
「いいですよ。ちょうど暇だし。今週ならいつでも。どこででも会いますよ」
「そうですか。わかりました。調整してまた電話します」 

　そして三日後の午後、三人は平塚亭に集合した。美味しいお饅頭を前にして、野上は深刻そうだった。「朝見さん、高校の後輩の野上です。ありがとうございます。すみませんが、私の話を聞いてください、おねがいします」
　そして野上は知っていることをすべて朝見に話したのだった。
「私にとってはＧ建設やＲ工業や議員先生のことはどうでもいいんです。山本さんが何かに巻き込まれてるんじゃないかというのが心配なんです。会社は辞めてるし、携帯もつながらないし。いつか福山の鞆の浦の仙酔島へ行こうと言ってたのに。消息不明になるなんて。心配でならないんです]

　末次が横から言った。
「朝見さん、私たち、高校の、おまけに文化部の同窓生なんです。力を貸してください」
「わかりました。僕でできることは何でもやりましょう。でも、あまり期待しないでくださいよ」