翌朝、早く、もう一度、帰る前に海岸の遊歩道を歩く。何度来てもいいね。
　五色岩がいいね。
「あれ、あれ何？　何かあるわ。なんなの？」
　家人に腕を掴まれ、びっくりして海を覗いた悪丸君だった。
　そこには一人の女性が浮かんでいた。
　びっくりした悪丸君だった。おいおい、死んでるみたいだぞ。
　あわてて携帯で１１０番通報した。
「もしもし、仙酔島の五色岩のところで人が沈んでます。すぐ来てください」
「仙酔島の五色岩ですか。少し時間がかかります。でもすぐに参ります」
「お願いします。国民宿舎へ戻っています」
　国民宿舎へ戻り、フロントへ連絡した。フロントもあわてて、遊歩道への出入りを禁止する処置をとった。
　そして福山西警察と救急隊を待つのだった。
　やがてやって来た警察と救急隊だった。落ちていた女性は引き上げられたが死んでいることは明白だった。
　死因は溺死だった。外傷もない。果たして事故か、それとも。
　事情聴取に応じた悪丸君だった。