「よしわかった。とりあえず赦してやろう。それから宮本さんも君と会いたいと言ってるんだ。明日、彼は所用で明治神宮に参拝する予定なんだ。君も行け。１５：００に明治神宮会館の前で待っていろ。宮本さんから連絡がある。わかったな」
「わかりました」
　大下としては承知するほかなかった。 

　翌日、明治神宮会館の前で待っていた大下に電話が入る。
「指示通りに一人で歩け。おれは後ろからついていく。あまり人に見られたくないからな」
　指示されたように歩いていくと、人のいない淋しい所に出た。明治神宮、有名なところだが、広く、森が鬱蒼としている。そんなところもあるのだ。
そこで待っていたのは見知らぬ人間だった。
「おれは、宮本さんの代理人だ。まあ、座れ。一服しよう。コーヒーでもどうだ」
　勧められたコーヒーには毒が入っていた。苦しむ大下を見て、男は笑う。
「ざまあ、みろ！　あまり楯突くからだ」
　捕り出した始末書を懐に押し込んで、携帯を奪って男は立ち去った。