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 大下をＲ工業の担当から外して、数日後、川上は大下を呼び出した。
「大下君、よく来てくれた。ところで君がうちの担当から外されたらしいな。なぜかわかっているだろう」
「いえ、さっぱりわかりません。いままで川上さんにも尽くしてきましたのに。そうか、川上さんの指示なんですね」
「わからないとは言わせないぞ。議員の政治献金についてある新聞社が調査してるそうだ。きみ、うちとＧ建設との関係を忘れちゃいまいな。何とかいえ」
　問い詰められた大下は、Ｇ建設と議員秘書とＲ工業の関係で、今後どうしようかと今、悩んでいることを告白した。出金伝票から経理の女性社員に見とがめれて、ついつい喋ったことも。
「でも、詳細は喋ってません。わたしもそれほどアホじゃないですから」
「馬鹿野郎！　そのせいで政治資金報告が調べられてるんだ。うちと秘書の宮本さん、おかけにＧ建設にも大いに迷惑なんだ。この場で始末書を書け！　そして一切口外しないと誓え！」
　執拗に迫られて大下は始末書を書いた。 

　ーーご迷惑をかけました。お許しくださいーーと