エピローグ 

　それから数ヵ月、年度末になり、高田は鳥羽へと帰っていった。過去のいっさいを捨てて、新しい生活を夢見て。
　まるで、白鳥となって大和へ戻った日本武尊のように。
　そして、同窓会で知り合った女の子と結婚し、鳥羽の高校で新しい教師生活を始めたのだ。

　鳥羽の高田からの便りで彼の幸せな生活を聞いた、朝見は嬉しくなった。
　あまり、事件解決に余り役だたなかったが、まあ、満足いく結末だ。
　でも、自分はどうなんだろう。高田さんのように、日本武尊のように、白鳥になって新しい生活ができるんだろうか？
　ああ、どうしたらいいんだろう？
　悶々とする浅見のところに日本紀行の黒川編集長から電話があった。
「朝見ちゃん、暇だろ、ルポしてほしいところがあるんだ。こっちへ来てよ」
　ああ、やっぱり、今の生活からは逃れられないんだ。

　今回は苦労した。アンコール・ワットの話は簡単なんだが、そこへ行く必然性をどうするか？
　背景となる犯罪をどうするか？　とりあえずオレオレ詐欺としよう。
　その時、以前散策した石薬師の白鳥塚が頭に浮かんだ。
　よし、三重の地名となった日本武尊の故事を背景にしよう。
　まあ、それから筆が進んだ。
　まあ、悪丸君の筆力、能力ではこんなものか。
　気が向いたら読んでみてください。