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　金曜日の夜、高田は、この前のスナックへ行った。後ろから覆面パトカーに乗って跡をつける、堀越と浅見だった。高田からの無線を聞きながら。
　二人が入ったスナックへは、少し遅れて長谷川部長刑事ともう一人の婦人警官が客を装っていったのだった。
　無線から聞こえてくるのは、高田さんと丸井と岸田の話声だった。
　しばらくしてから、丸井の罵声が聞こえてきた。
「いい加減にしろよ、とにかくここじゃまずい。他に客がいるんだ。出よう。染井霊園で静かに話そうじゃないか」
　染井霊園、あそこは静かだ。夜になれば人はいない。何でもできるぞ。
そう思った堀越は染井霊園に捜査員を集中させたのだ。

 染井霊園の静かなたたずまい。
　丸井と岸田は高田を連れ出した。その後ろから池袋署の刑事が二人、尾行している。
いざとなったら、すぐに介入できるようにして。
　染井霊園で潜伏している堀越の耳に丸井と岸田の声が響いた。
「高田さん、あんたが我々を追っているのは分かっている。我々としては手荒なことはしたくない。これ以上、われわれのことを嗅ぎまわるのはやめてほしい。君から、君ののお母さんから奪ったお金は返そう。どうだい」
　刑事たちが息を凝らして見守っていることを知っている高田は言うのだった。
「話は分かります。でも、あなたたちの犯罪は犯罪です。それは無茶な話ですよ。ちゃんと罪を償ってくださいよ」
「なに！　威張るんじゃない！　この野郎！」
　丸井の鉄拳が高田の横顔を襲った。
「痛い！　なにするんですか！」

　そこへ、周囲から投光器が。堀越の罵声が響いた。
「止めろ、丸井と岸田！　暴行の現行犯で逮捕する！」
　こうして、詐欺グループは逮捕された。池袋署へ連行された二人は、あっさりと自供した。意外とあっさりと陥落したのだった。
　こうして、朝見をも巻き込んだ高田の母を巡る詐欺事件は決着した。