それからこの文士村のビル、ちょっと調べてみますよ」

　池袋署ですでに行動を起こしていると知って、少し安心した朝見だった。
　そこへ高田の身辺確認に行った刑事から長谷川部長刑事の携帯に連絡が入った。
「お、おれだ。どうだった？　うん、うん、そうか。わかった。君はそのままマンションに張り込んでいろ。また、連絡する」
　長谷川部長刑事がほっとした顔で堀越警部に報告した。
「高田さんは、今日は学校に出勤しているようです。出勤していることは確認しました。とりあえず安心です。まあ、これは私の勘ですが、今日は木曜日。何か起きるとすれば、来週の週末くらいじゃないでしょうか」
　うなずいた堀越が朝見に言うのだった。
「朝見さん、お聞きのとおりです。とりあえず今日は無事でしょう。学校から帰るときから、われわれの全精力を傾けて、高田さんを保護します。二十四時間体制で。丸井企画の捜査は巣鴨署と連絡とります。ここまで進行していたとは、警察として、少し恥ずかしいですね。
　朝見さん、情報、ありがとう。ここからは警察にお任せください。けっして高田さんを危険にはさらしません。何か情報があったら、また、お願いします」

　とりあえず、安心した朝見は、ルポの執筆を急に思い出した。
「わかりました。堀越さん、よろしく、お願いします。わたしも仕事があるんで、今日はこれで失礼します。よろしく」
　そう言って池袋署を出て、自宅に戻ったのだった。