古代の英雄、日本武尊の伝説に思いをやりながら次の目的地、荒神山へと急ぐ。
　荒神山観音寺、広沢虎蔵の浪曲で一世を風靡した血煙荒神山、吉良の仁吉の死んだやくざの出入り。穴太徳一家との戦いの現場。どんなところか興味津々。荒神山観音寺へ行く。低い、山というよりも丘だ。この丘の裏山で出入りがあったのだろう。
　寺院入口付近の鐘樓堂には春日局が寄進した梵鐘があった。尾崎士郎の小説「人生劇場」でも有名な吉良仁吉は、鈴鹿市荒神山での穴太徳一家との争いで凶弾に倒れたのだ。

　その様子は事件後すぐに講談になり 、その後、浪曲界の大名人広沢虎造（１８９９～１９６４）により「血煙荒神山」として広く知れ渡りました。
　歩いていると仁吉の碑があった。昭和二十六年、広沢虎蔵建立とある。さすが戦後のこの時期は浪曲が庶民の心をとらえていたんだろうな。
朝見は詳しくは知らないがラジオで浪曲が流れていたのはうっすら覚えている。

　今の若い人には何のことかわからないだろうが。
仁吉の三度笠や装束、鉄砲も展示されていた。

　しばし、日本武尊を偲んでたたずみ、鳥羽へ向かった。