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 それから一週間ほどたった木曜日、高田は井田から誘われた。
「高田さん、少し身辺が落ち着いたんです。一度飲みに行きませんか。久しぶりに。少しお話したいこともあるんで」
　井田から誘われるとは思っていなかった、高田は少しびっくりした。
少し考えて、「ありがとう。でも鳥羽の実家のほうでちょっと用事がありましてね。明日から三日ほど休みをとってるんです。今日は無理です。来週だったらいいですよ」
「じゃ、来週、都合のいいときに。連絡ください。行きましょう」 

　その日帰宅した高田は少し考えた。ひょっとしたら、自分が井田の身辺をさぐっていたのが露見したか？　それなら大変だ。どうしよう。ひょっとしたら、自分に危険が及ぶかも。

　今、自分がすることは何だろう。
　誰に相談しよう。警察は証拠がないと動いてはくれない。今、自分の頭にあるのは決定的証拠とは言えない。
　よし、あの朝見さんに相談しよう。とりあえず、今までのことを知らせよう。
　そう考えた高田は、池袋での事情聴取から、興信所に頼んだ報告書の件などを詳細に手紙に認めた。
　そして、別紙に一言したため、期日指定で郵便を送った。 

――朝見さん、急なことをお願いします。母の詐欺事件を自分なりに追っています。これまでの結果を別封筒に収めてあります。いちど、ご覧になってみてください。警察へ届けるのは早いと思いました。開封のうえ、適切に処置をお願いします。よろしく――