行方不明の女性の捜索は現地警察もあまり真面目にやってなかったようだ。
　これが再調査の結果だった。

　そしてアルバイトの男の名前とパスポートのコピイが添付されていた。
　名前は加藤博、三十一歳。東京、北区の住人だった。　

　朝見はびっくりした。こんな事情があったなんて。こんなにくわしいことがわかるなんて。一体いままでの現地の捜査は何だったんだ。
大使館の職員もなにやってたんだ。
　きっと行方不明ってことを真面目に取っていなかったんだろう。どこか遊び廻っているとでも思ったんだろう。現地は暖かいし、獰猛な野獣なんていないし。赤道直下の楽園なんだから。 

　メールを見た朝見は考えるのだった。
これはきっと事件に関係するに違いない。
　この男を探ってみればきっとなんかあるぞ。
　そう確信した朝見だった。

　近藤さんと総督にお礼の連絡をしなくちゃ。
　さっそくメールで返信した。
ーー資料ありがとうございます、これで何とか事件の解決へ向かいそうです。実はティオマンでの旅行社の添乗員が東京で事件にあってまして。それとも関係ありそうです。
　ティオマンの総督にもお礼を言ってください。感謝していますーー