現地調査が終わって、近藤が総督に言った。

「実は朝見さんは、日本でも有名なルポライター兼探偵なんですよ。きっと、ティオマンのことを雑誌に載せて宣伝してくれますよ。それと、じつはね、この前、日本人の女性が事故死したことも調べてるんですよ。総督、力を貸してやってくれませんか」
　そう聞いた総督はしばし考えていった。
「わかりました、再調査させましょう。観光宣伝のこともよろしく。調査の結果は近藤さんに連絡しましょう」
「ありがとうございます」
　会話は英語とマレー語だったが、さすが、現地のコンサルタントだ。スムーズに意思疎通ができている。
　彼らは、昼前にＴＥＫＥＫに戻った。三人は午後の便でクアラルンプールの戻ったのだった。

　朝見にとって、この現地調査は、日頃経験しないいい散策だった。上手くいけば事故の件もなにかわかるだろう。
　彼らと別れた朝見は夕方まで近くを散策する。しかし、ここはいい所だ。気分がいい。のんびりしていると世の中を忘れてしまうような気分だ。
　そしてツアーの一行と合流したのだった。