彼らは関西の設備会社の二人と、クアラルンプールのコンサルだった。
　ティオマンの空港拡張と浄水場の建設計画があるらしい。今日は空港近くを現地調査していたのだった。
　そんな仕事があるなんて何も知らない朝見には新鮮に写ったのだった。

　その時、コンサルタントの近藤さんが朝見に言う。
「朝見さんて、ルポライターをしながら探偵として名が売れてる、あの人ですね。ひょっとしたら、この前ティオマン島で事故死した女性の件でも探ってるんですか？」
「はあ、まあ、それも少しはありますが。本来はルポが仕事です。今日、事故現場へは行きましたが、さっぱりわかりません」
「そうですか。いや、明日、ティオマンの総督と一緒に現地調査に行くんですよ。一緒に来てもらえば、総督に相談してあげてもいいですよ」
「それはありがたいですね。ありがとうございます。よろしくお願いします」
「じゃ、明日、一日よろしく」
　集合時間を決めて、とりあえず別れた。