桜田と別れてから浅見は読日新聞の島崎のところへと向かった。
「島崎さん、ちょっと新聞社のデータベースで調べてほしいことがあるんですけど。このまえ、天城峠の妖精の件で新聞の芸能欄に掲載していただいた件と絡んでるんですけど」
「やあ、朝見さん、まあ、いつもよく事件に会いますね。今度はどうしたんですか？」
「実は、一か月ほど前、伊豆の黄金崎あたりで何か事件が起きていないか知りたいんです。それと一週間ほど前に五井の港で小沢という人がおぼれ死んだそうなので、その事故の詳細を知りたいんです」
「ふーん、よくわからないけど、いいですよ。さっそく調べましょう。何か不審な点でもあるんですか？　まあ、うまくいけばわが社の特ダネにもなりますから協力しましょう。二、三日待ってください」

　読日新聞から帰った朝見は、黄金崎で自分が撮った写真のデータを調べなおした。そして男の顔写真と男が乗って来た車のナンバーを確認したのだった。
　そして旧知の池袋署の堀越警部を尋ねた。
「堀越さん、お願いがあるんですけど。このナンバープレートの車の持ち主を調べてほしいんですけど」
「朝見さん、今度は何ですか。この車が何の事件と関係があるんです？　まあ、朝見さんのことですから、きっと何かあるんでしょうね」
「すみません。申しわけありませんが、現時点では何も言えないんです。すみませんが、よろしく」
　快諾した堀越だった。