３

　夕方、安住は殺意を抱いて五井駅に赴いた。どうしてこの男を処分しようかと考えながら。証拠を残さないことが重要だ。早めに五井駅に行く。それなら一緒にカメラには映らない。
　そして一人で五井の港を下見に行くのだった。

　夜遅く会うことになるな。やっぱり、酔っ払わせて海で溺死させよう。それがいちばんいいだろう。そう考えた安住は、自分が常用している睡眠薬をポケットに入れ、コンビニで焼酎やビールを買い込んだ。　そして九時ころ、五井の駅へ行った。《週間マンデー》の最新号を持って。

　しばし待っていると一人の男が近づいてきた。
「安住さんだね。よく来てくれた。今後のことを少し話し合おうじゃないか。君のことはよく知ってるよ」
　男を見た安住ははっとした。
　あ、この男、金利について強情に言ってきた連中の一人だ。そうか、それで俺のことを知ってたんだ。
「あなたは、いつか会社に来た人ですね。憶えてますよ」
「よく、覚えていたな。ちょっと歩こうか。その先の海釣り公園へ行こう。俺の跡から少し離れて歩こうじゃないか。カメラに映るのは嫌だからな」