それから彼は自分の仕事をそっちのけにして、消費者金融の会社を見張るのだった。
　会社の出入り口が見えるビルの一室にこもり、カメラを手にして日夜見張った。
そして、ついに、黄金崎でみた男を発見した。
会社へ出入りしているのだった。果たして、彼は社員なのか?　それとも単なる出入りしている人間なのか？　跡をつけて、住んでいる場所を突き止める。
会社のホームページ等を調べる。
近所のよく彼が寄り道するコンビニ等を調べまくった。
興信所にも依頼して、彼の素性をさぐるのだった。
その結果、彼は消費者金融会社の営業係長だとわかった。
　彼がなぜ、人目を避けて、黄金崎へ行ったのか？　仔細ははっきりしない。
しかし、彼が黄金崎に女と一緒に来たことが判れば、下田署が黙っていないだろう。
　よし、彼を脅そう。　何らかの利益にはなるだろう。
自分の抱えている借金の穴埋めにはなるだろう。
　そう考えた小沢は、その男、安住文雄に接触した。

　数日して、消費者金融の安住のもとへ一通の封書が届いた。
　差出人の名前はない。宛名もギクシャクした字で、筆跡を隠しているようだ。